適応障害 症状と治療の記録

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武器になる哲学
中古の流通が極めて低いのと、昨今その信ぴょう性が危ぶまれるamazonのカスタマーレビューの充実さから気になっていたのですが、手に取ってその理由が分かりました。

哲学というワードだけでもビジネスパーソンの武器になる空気は十分漂うのですが、その分かりにくさから入門手前でいい歳になってしまったわけですが、本書のドストレートなタイトルである「武器になる哲学」と、帯の「コンサルの修羅場で、一番役立ったのは哲学だった。」です。

高値で情報を売るコンサルという現場での修羅場って想像を絶します。すさまじいボディーランゲージで書類をデスクにたたきつける様な状況でしょうか(汗)

その様な場面で一番役に立ったのは、先輩の助言でも、前日に徹夜で作ったパワポの資料でもなく、人を動かすで有名なデール・カーネギーでも松下幸之助でも孫氏の兵法でもなく、哲学だとおっしゃるのですから食指が伸びずにはいられません。

前置きが長くなりましたが、完読前にも関わらず極めて良書であることが判明しました。読者の方々もなかなか骨太な方々が多く、哲学者による思想の好き嫌いがハイライトされるジャンルではありますが、本書が良書である理由は、「著者の個人的な有用性に基づいている」点です。いわゆる哲学を実務で使える形に要約されたイメージでしょうか、個人的には「哲学がイノベーションされた!」と感じました。

なぜビジネスパーソンが哲学を学ぶべきなのか
哲学を学ぶべき理由
  1. 状況を正確に洞察する
  2. 批判的思考のツボを学ぶ
  3. アジェンダを定める
  4. 二度と悲劇を起こさないために
1と2については説明するまでもがななので、3と4について補足します。

アジェンダとは「課題」を指します。課題を定めることはイノベーションの起点になるからです。イノベーションとはアイデアを実用化することですが、多くはイノベーションもどきで期待に応えられていません。それは「課題」の設定がうまくできていないからです。そのためには「空間軸・時間軸での知識の広がりである教養」が必要で、課題を比較相対化して、教養というレンズと通して浮かび上がる普遍性の無さを疑うことが必要だと言っています。

「二度と悲劇を起こさないために」とはまた辛辣なお話です。これは血塗られた人類史を指します。またそれらはごく普通の人々の愚かさによって招かれました。人類はこれらの失敗の経験から既に教訓を得ているのです。膨大な時間を費やして導かれた過去の哲学者たちの指摘に、一般的なビジネスパーソンが耳を傾けることに意味があります。同じ過ちを繰り返さないためには、過去の悲劇をもとにして得られた教訓を、どれだけ学び取れるかにかかっていると筆者は強く示唆されています。

速攻使えるキーコンセプトをピックアップ

ロゴス・エトス・パトス ー 論理だけでは人は動かない
アリストテレスは著書「弁論術」において、本当の意味で人を説得して行動を変えさせるためには「ロゴス」「エトス」「パトス」の3つが必要だと説く。ロゴスは論理、エトスは倫理、パトスは情熱を表します。つまり、論理的であり、道徳的に正しく、情熱的に語る弁論(レトリック)によって初めて人は共感すると主張しました。一方アリストテレスの師であるソクラテスはこれに対してレトリックではなく対話(ダイヤローグ)が重要だと反論しています。実務の現場においては、状況に応じてレトリックとダイヤローグを使い分けるスキルが求められます。


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ビジネスEQ 感情コンピテンスを仕事に生かす

心理学者ダニエル・ゴールマンさんの「ビジネスEQ」がとても素晴らしい書籍でありビジネスに役立つビジネスEQ 感情コンピテンスを仕事に生かす|ダニエル・ゴールマンの記事にゆだねるとして、今回は、25の感情コンピテンスにおいて抑えておくべき「ほかの人たちを理解する」EQスキルをご紹介いたします。

前回ご紹介した25の感情コンピテンスのチェックシートですが、部下にチェックさせたところ、やはりと言うか想定通りと言いますか、自分の感情が分からない人は他人の感情にも気付けないわけです。なので、今回ご紹介する「ほかの人たちを理解する」は感情理解と対で理解することで習熟度が高まります。

共感性は心の中から生まれる

心理学者であるフロイトはこのように言いました。
人間と言うものは、決して秘密を守り切れない。もし口がきけなくとも、指の動きでゴシップを振りまく。裏切り行為はあらゆる毛穴をくぐり抜けて表出する。
ビジネスの現場において、感情を隠す理由がある状況は多々ありますが、本心は態度を通じてにじみ出るという事を意味しています。他の人がそれを言葉にしなくても、その人がどう感じているか感得する能力こそ共感性の中核をなす能力です。

他の人の感情を理解するためには、自らの感情をしっかり理解する必要があります。これはカリフォルニア大学バークレー校のロバート・レベンソンの研究で共感による身体的反応の後追い現象である「同調化」によって明らかになっています。共感性の前提条件は、腹の底で感じ取る感情からの信号を読み取る「自己認識」に他なりません。

同調を促す微妙なリズム

一つうまく同調できない事例をご紹介します。
わが社に数分のうちにみんなを沈黙させてしまう女性がいる。彼女は何の話かよく聞かずに会話に飛び込んでくる。そして話の内容とは全く関係のない、彼女の苦情やら批判やらを一人で勝手に話し始める。彼女が発言を始めると、みんながあくびをしているのをものともせず、自分の発言を続ける。どこで発言を区切ったら良いのか理解できない。まったくそのきっかけがつかめないのだ。
これは同調できていないために発生した事例です。一般的には、2人の人が会話を始めると、2人の動作や姿勢、音声のピッチ、発言の量、さらには一人がしゃべり、もうひとりがそれに対応すると言う間合いの長さをも調整させてリズムミカルな会話を展開します。

この相互間の調和は、意識下の認識の外側で保たれており、脳の最も原始的な扁桃核でコントロールされており、極めて速いスピード(約0.07秒)で行われます。調和機能がうまく働かないと、我々は戸惑いや混乱を感じやすくなります。

相互間の調整作用の鍵

ずばり顔の表情です。相手の幸せな顔や怒りの顔を見ると、わずかながらも我々にこれに対応する感情を生み出します。相手のペース、動作、顔の表情をどれだけ考慮するかの度合いによって、お互いの間の感情の距離が決まります。さらに我々の身体が相手の動作に合わせ始めると、感情的な調和も感じ始めます。

我々の神経システムはこの感情の共感に自動的に適応するように設定されています。ここでも脳の扁桃核が主要な役割を果たしています。この能力をいかに効果的に活用できるかは、モチベーション、つまり後天的に学習された能力にかかっています。

もし社会的に完全に他社から隔離された状況で育てられると、周りの者から発せられる感情的な信号を読み取ることが出来なくなります。これは共感性をつかさどる基本的な神経回路が存在していないからではなく、感情のメッセージに関心を寄せることを学んだことが無く、必然的にこの種のスキルを活用したことが無かったことから生じます。

共感性は、仕事の遂行にとって重要な、すべての社会的コンピテンスに対する基礎的なスキルです。共感性を発揮するためには、他の人たちの感情や考え方を感得し、彼らの関心ごとに積極的に興味を示す必要があります。

表情と感情についてはイラストで学習する方法もあります。眺めているだけでも効果がありそうです。


まとめ

他の人たちを理解するスキル
  • 感情の兆しに注目し、他の人たちの発言に耳を傾ける
  • 感受性を発揮し、他の人たちのものの考え方を理解する
  • 他の人たちのニーズや感情を理解した上で支援を提供する
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無印ボールペン

書く作業は、頭の中を整理したり記憶したりするために効果的です。さらにお気に入りのペンでその作業をすることで、モチベーションをアップすることができます。画像は無印良品の6角タイプの0.38mmゲルインキボールペンとノック式蛍光ペンです。
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Talking tips by MHFA
今日はMHFA EnglandのTipsのご紹介です。まいどながらMHFAさんの資料は2トーンで直観的にイメージできるアイコンと短いセンテンスにポイントが要約されていて素晴らしいです。今回は”Talking tips”ということで、メンタルヘルス不調者との会話を想定したTipsになっています。

  • 意欲的かつ支援的な雑談から課題を探求して支援することができる場合がある
  • オープンなボディーランゲージと言語の一致性を保つ
  • 共感的に真剣に聞く
  • 「頑張って」や「元気出して」などのうわべだけのアドバイスをしない
  • アイコンタクトの量が適切であるかのような、コミュニケーションにおける文化的な違いを考慮する

《原文》
keep the chat positive and supportive, exploring the issues and how you may be able to help. Keep your body language open and non-confrontational. Be empathetic and take them seriously. Don't offer glib advice such as "pull yourself together" or "cheer up". Take into account cultural differences in communication style e.g. how much eye contact is appropriate.
かく言う私も不調時の何気ない会話にストレスを抱えたことがあります。例えば、ここで紹介されている「頑張って」や「元気出して」などの様に、「頑張りたくても不安だから辛い」とか「元気が出ないから辛いんじゃん」のような相手の気持ちに配慮がない会話はもちろんですが、「気にしすぎですって」というのが自分は一番辛かったです。相手は何気なく励ますつもりでかけた言葉だと思いますが、受け取り方は「お前らが気にしないから不安なんじゃないか!」とまったく逆効果!傾聴も普通やらないですからなかなか難しいですよね。傾聴スキルは平木さんの書籍が分かりやすいと思います。


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性善説にしろ性悪説にしろ、人間は教育によりより良い行動がとれるとされています。そもそも人間が悪いものであるならば、AIによっていずれ淘汰されてしまうでしょう。

下記の様な未来予想のような・・・
ターミネーター:新起動/ジェニシス [Blu-ray]
アーノルド・シュワルツェネッガー
パラマウント
2016-05-11


しかし人間は学び、成長し、ともに助け合うことができます。ストレス発散にターミネーターもいいですが、人類が目指すべき指針を知るべく、TEDGlobal 2014でのマチウ・リカール(Matthieu Ricard)さんのプレゼンはとても印象的です。

愛他的に導かれる生き方 How to let altruism be your guide

現在我々は様々な社会問題に直面しています。豊かさの只中にある貧困や、不平等、葛藤、不正などです。また新しい問題もあります。1万年前 地球上にいた人類はおよそ500万人でした。人類がどんなことをしようとも、地球の回復力が人間の活動による 傷をすぐに癒してくれました。

産業革命や技術革命の後状況は変わりました。いまや我々は、地球に影響を及ぼす主要因子となっています。もし我々がこの際限のない成長、際限のない物質的資源の消費を続けるならば、人類史のみならず地球史に終止符を打つことになるでしょう。

地球の限界を科学者達が定義した要因があります。気候の安定を1万年前と同水準に維持できれば人類はさらに15万年繁栄し続けられます。しかしこれは原始時代の様な簡素な生活を自発的に選択することや、量的成長から質的成長へと転換できるかにかかっています。
Planetary boundaries 2010
《TED how to let altruism be your guide》

これは地球の限界について様々な要素であらわしたものです。1900年には安全な範囲のずっと内側にいました。それから1950年代に大きな加速があり、今や 我々は地球の限界のいくつかを大幅に超えてしまっています。生物多様性だけを見ても、今のペースで2050年には地球上の全ての種のうち30%が滅ぶと言われています。SpaceX社のイーロンマスク氏が火星に移住しようと考えるわけです。

多くの人の考え方を代弁するような言葉があります。アメリカのコメディアン、グルーチョ・マルクス曰く 「なんで将来の世代を気にかけなきゃいけない? そいつらが俺に何してくれたって言うんだ?」

大富豪スティーヴ・フォーブスが海面上昇について聞かれたときに放った言葉が「 100年後に起きることのために 今日の自分の行動を変えるなんて 馬鹿げている」です。

人類の未来を救う3つの時間尺度の調整

この問題を解決するためには、3つの時間尺度の間を調整する必要があります。

  • 経済という短期的なもの
  • 生活の質という中期的なもの
  • 環境という 長期的なもの

この3つの時間尺度の間を調整可能なのは、たった1つの概念しかないとリカールさんは言います。

単に他者を もっと大事にするということ

「我々は救いようのないほど利己的な存在だ」とホッブズなど多くの哲学者はかつてそう言いました。しかし悪党には見えない人もいます。それとも人間は人間の敵なのでしょうか?

OECDが収入その他10の要因について調査を行ったところ、幸福の重要な要因として人々が一番に挙げたのは社会的関係の質でした。つまるところ「我々が救いようないほどに利己的である」という考えは 机上の考えにすぎません。社会学の研究にも心理学の研究にもそんな結果を示すものは1つもありません。むしろ逆です。

リカールの友人であるダニエル・バトソンは、全人生を費やして人々を非常に複雑な状況に置く実験をしてきました。その結果、我々は利己的になる時もあるし他の人より利己的な人もいますが、体系的に研究した結果、どんな場合にも愛他的にふるまう人がかなり多くいることを見出しました。つまり人間は明らかに愛他的だという事が分かったのです。

愛他性とは何か?

「他の人々が幸せになり幸せの源を見つけてほしい」という願い

もっと愛他的な社会を望むならしなければならないことが2つあります。個人の変化と社会の変化です。

個人の変化は可能か?
2千年にわたる瞑想研究によると可能です。神経科学とエピジェネティクスによる 15年間の共同研究でも答えはイエスでした。愛他性の訓練は脳を変化させます。どうするのかと言うと、4週間1日20分 思いやりとマインドフルネスの瞑想をするだけで脳の構造的変化が起きるのです。同様の実験を就学前の子供に行ったところ、前後で「ステッカーテスト」の結果に違いが現れました。訓練前には 大半のステッカーを 好きな子にあげましたが、訓練後は差別をしなくなったのです。仲の良い子にも そうでない子にも 同数のステッカーをあげていました。

グローバルな水準で 我々がすべき3つの事?

協同を増すこと
 学校では競争的学習ではなく協同学習を行うことであり、職場では見返りを求めず協働することです。企業間での競争は有り得ますが内部ではしません

持続可能な調和
 持続可能な調和とは不平等を減らすことです。将来的により少ないものでより多くのことができるようになるでしょう。そして我々は量的ではなく、質的に成長し続けます。

思いやりに基づく経済
 「ホモ・エコノミクス」は 豊かさの中の貧困には対処できませんし、大気や海洋といった 共有資源の問題を取り扱うこともできません。思いやりに基づく経済が我々には必要です。

ターミネーターの世界がエンターテインメントであったと笑える日が来ることを願って!
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